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1975年愛知県名古屋市出身。明治大学政治経済学部卒業。大手ベンチャーキャピタルに就職後、サイバーエージェント、オン・ザ・エッジを経てケンブリッジ大学へ留学しMBAを取得。2011年に日本クラフトビールを設立し、代表取締役に就任。和の馨るエール「馨和 KAGUA」や「東京 Tokyo」をテーマにした「Far Yeast」など個性あふれるビールを世界へ発信している。
――学生時代は将来何になりたいと思っていましたか?
学生時代は特になかったんですよね。
何になりたいとか強い思いはなくて。
ただ、留学をしたいというのは思っていました。
そのあと、ようやく就職活動が始まってから将来どうしようかなと真剣に考えるようになって、
僕の場合は業種を絞って活動していました。
ITといっても当時はあまりなく、ソフトウェア業界と言われるようなところと証券業界、
この二つにしようと思ったわけです。
ソフトウェアを選んだのはやっぱり成長産業なので、大手といわれるところでもそんなに社歴もないし、
若い人たちが活躍しているし、これからもどんどん伸びていって…。
これはなんか仕事としてチャンスがたくさんありそうだなというのが選んだ理由です。
証券会社を選んだのは、そもそも『ウォール街』を見て「すごい、かっこいい」と思ったから。
日本だと金融業界では銀行が一応頂点にあって、一応給料も高くて、世間体というかそういう見栄えも
いいみたいに当時は特に思われてたんですけど、アメリカでは全く逆で資本市場が金融の主役であって、
銀行のような間接金融っていうのは脇役だったのでそういうのを見て日本もおそらくこれからもっと
証券会社・資本市場で活躍するプレイヤーが注目されるだろう。
だから、今証券会社に入っておけば将来的に成長の波に乗っていけるんじゃないかと思い、
何件か受けました。
――大手ベンチャーキャピタルに就職していた時、どういう思いを持って働いていましたか?
実はすごい短い期間だったし、結構特殊な世界で同期も6人しかいなかった。
5年で力をつけて自分で何かやりたいっていう人の集まりだったので、先輩社員に
「この会社にいつまで残る気でいますか?」って聞くと大体5年ぐらいって言ってて。
今まで自分自身はそんなに何か独立したいとか会社を創りたいとかあんまり考えていなかったのが、
そういう周りの先輩方に影響を受けて、だんだんそういうやり方もあるんだなっていう風に
変わっていった感じですね。
――ベンチャーキャピタル、サイバーエージェント、ライブドアで勤められた後に
ケンブリッジ大学に留学なさったきっかけは何だったのですか?
元々学生時代に留学をしたいと思っていたんですね。
なのでそれがまずベースにあって、ベンチャーキャピタルにいた時から、自分がやった案件が
日経新聞の一面に載りたいなと思っていたんです。
先輩方が自慢するんですよ。
投資した会社が何億調達したっていうのが大体ベンチャー欄に載っていて、
「これは俺がやったんだ」って言って。
そういうのを見ていて、じゃあ自分は一面に載るような案件をやりたいってずっと思っていたんです。
それでライブドアの時にオンザエッジという会社が当時無料プロバイダーとして結構注目されていた
ライブドアという会社を買収したんですね。
その時、ライブドアを買収する案件を手掛けさせてもらって、それが運良く一面の左下位に
載っかったので自分の中で一区切りついたんです。
そのあと、そういえば元々留学をしたかったし、MBAって学生の時は全然知らなかったんですけど、
こういうスタートアップの業界にいたり、金融機関の人と話す機会から、
MBA持ってる人すごくたくさんいるなと思って、じゃあそういうものを取ってみたいと。
それでライブドア自体すごくいい環境だとは思ったんですけど、あまりにも個性的なので、
あまりそのやり方ばっかりしか知らないと、将来何があるか分からないし、一つのやり方だけでなく、
いろんなやり方を知りたいと思って、思い切って会社を辞めて留学をしようとしたわけです。

――ビールに興味を持たれたきっかけは何ですか?
ヨーロッパというのはすごくビール文化が発達していて、いろんなスタイルのビールがあるんですね。
日本の場合は大手のメーカーが寡占しているような市場なので、日本にはなかったんです。
ヨーロッパにはその土地にそれぞれのスタイルがあってですね。
それで日本のビールのマーケットとのギャップがあって、すごいびっくりしたんですけれども、
よくよく考えてみると先進国でビールの多様性がないのって日本くらいなんですよ。
まあそもそも日本がおかしいんだろうなと思って、自分でビールの世界で何かやりたいなって
思ったときにコブラビール創業者のカランというケンブリッジの卒業生が授業でスピーチをしてくれて。
彼は元々会計士で、業界の外からやってきた人が会社を立ち上げて大きくしていっているというのを見て、
かなり刺激を受けました。
――明大生へのメッセージをお願いします。
明治大学の今のキャッチコピーの「個を強くする」って言葉。
あれ実はすごくいい言葉なんじゃないかなと思っていて。
サッカーの日本代表の「個人の力が上がんなきゃだめだ」みたいなそういう議論もあったと
思うんですけど、今時代が学校名とかここの会社に入ったから大丈夫とかっていう時代では
全くなくなったので、やっぱり自分自身が強くならないといけないと思うんです。
そういう意味では本当に例えばなんですけど、世界に飛び出した時に
○○大学を出ていますとかっていうことは何の役にも立たなくて横一線の状態で
スタートすると思うんです。
だから、逆に大学がここだからとかこの会社に入るとかそういうのじゃなくて、
本当に自分自身のためになることを一生懸命やってほしいなと思います。